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職場環境改善(オフィスリノベーション)
〜 行きたくなるオフィスの構築 〜

【これからのオフィス作り】

「帽子メーカーっぽくない、IT企業みたい!」リノベを終えた直後に従業員が最初に放った言葉でした。 

ファッション界の巨匠サンモトヤマの茂登山長市郎氏が生前に残した言葉があります。「ファッションは流行を映し創り出し、常に流れ行く川の流れのようなもの。私たちは流れに沿って変化しながら、その先を見据えていなければならない。 ファッションとは、流行という流れに逆らわず、その変化を楽しむもの」 良い言葉です。 すべての会社に当てはまる訳では無いのですが、組織や企業が長く続こうと思ったら変化していかないとダメなんだと言うことです。 コロナでライフスタイルもファッションも大きく変わりました。 加えて働き方も大きく変化して、テレワークにリモート会議など、今こそこれまでの型にはまった考え方を捨てて新しいことに挑戦する時なんだと思います。 

そんな中、オフィスリノベーションに踏み切ったのは、その流行に乗りつつ、昔ながらの帽子メーカーのイメージを崩したかったから。 古いのが悪い訳ではないのですが、とりわけトレンドに左右される業界にあって、時代の流れに乗るというのは非常に大事なことで、働き方や職場と言った部分でも、それは大事なことなんだと気付いたからです。 しかし、今はどこでも働ける時代に、リノベーションしてまでオフィスに固執する理由はなにか?ということですが、オフィスでしか出来ない体験があり、それは社員を輝かせ、組織を強くする、その場所として、我々はオフィスを定義しているからです。

時は2022年の暮れ頃から、コロナ終息が見えてきたタイミングで、なんとなくその頃世間で話題に上がっていた『アフターコロナの世界』『働き方改革』等々を頻繁に耳にするに当たって、実際にコロナ禍の煽りを受けてか数名の離職者が出たり、中には自律神経を乱したりする社員がいたりして、なにかしら手を打たないとダメだと考え出しました。

そこで思い浮かべたのは、大手IT企業がこぞって取り組んでいるオフィスフロアの刷新でした。 『刷新=リノベーション』ここ数年でトレンドになっている単語ですが、廃校をリノベーションしたカフェや、廃業した古い病院、使わなくなった社宅などをリノベーションしたシェアオフィスなど、使い方は様々ですが、どれも古いものを新しくするというだけでなく、そこにトレンドを取り入れて再び輝かせるという感じなんだと思います。

我々はオフィスリノベーションを『オフィス環境の改善』(働く場、働き方を選択出来るようにすることで)によって、『社員のストレスを軽減』して『離職率を減らす』為と定義しました。 今回我々が考えているような既存オフィスのリノベーションの背景の多くは、コロナ禍を経た働き方の変化だけでなく、コロナ禍が原因で起きた様々な問題に起因しているのだと思っています。 今回のリノベーションによって、『行って当然のオフィス』から『行きたくなるオフィス』へとオフィスの在り方が大きく変わりました。



2020年頃の神戸本社3Fメインオフィスの風景
往年の事務机が並ぶ典型的な島型オフィスは当然固定席。 書類とサンプル、素材等が所狭しと山のように並ぶ。
当時はこれで仕事オンリーと考えると集中出来る環境だったのかも分かりませんが、時代遅れ感は否めません。


【働き方の仕組みとオフィスの合致】

昭和の時代から50年間ほとんど変わらなかったオフィスをリノベーションする訳ですが、ただ綺麗にするだけでは意味がない、まずは『働き方の仕組みとオフィスを合致させる』ことが重要だと考えました。 いくらオシャレなオフィスでも、従来通りの紙ベースな働き方で、引き出し付きの白い執務デスクが置かれ、その一つ一つに卓上電話があるオフィスのままだと意味がないと思いました。 どうせやるなら働く仕組みを再構築して、社内インフラも大きく変えつつ徹底的にリノベーションしようと思いました。

そんな中、施工業者を探していて、2023年夏にコクヨマーケティングという会社に出会いました。 コクヨのイメージは文房具の会社という感じでしたが、今は変わっていて、お客様と共に『働く人を輝かせ、組織を強くする』会社というスローガンの元、オフィスデザインから施工まで、トータルで提案するプラットフォーム事業を展開しています。 オフィスリノベーションの事例や施工について調べていて見つけたのですが、問い合わせたらすぐに営業の方から返事をもらい、プレゼンテーションを経て、コクヨのライブオフィスを見学させて貰って、ここしかないと決めました。 

2023年春、コロナ終息と共に世の中が本格的に動き出して、まず取り組んだのが『ペーパーレス化』でした。 半ば強引に推進しましたが、ものすごい廃棄書類と共に2023年暮にはほとんどの社員が必要最低限の書類を残し、ペーパーレス化を実践することが出来ました。 難しいだろうと思っていましたが、やれば出来るんだなと思いました。

2024年に入り、コクヨマーケティングとの打ち合わせも具体的になりつつ、費用の問題に直面することに。 噂通りいい値段だった訳ですが、一度決めたことなので、、、 ただ、削れるところは削りつつ、最後は腹を括って依頼したのでした。


【行きたくなるオフィスの構築】

今回リノベーションしたフロアは、メインの執務フロア(3F)、展示商談フロア(4F)、そしてほとんど使っていなかったフロア(5F)の3フロア。 とにかく『行きたくなるオフィス』というのを念頭に考えました。 ただ、メインは仕事なので、カフェやレストランのような空間という訳には行きませんが、仕事がもっと好きになるワクワクする、社員が生き生きと動き回り、このオフィスでもっとチャレンジしたい!そんな空間が作れたら素晴らしいと考えました。

往年の事務机や書庫など、既存の家具や事務用品はほぼ全て撤廃して、大きく使いやすい4人掛けのテーブルをインディビデュアルに配置して従来の堅い会社のイメージだった島型レイアウトから一新した。 フリーアドレスを採用したことにより、普段あまり話さない人とのコミュニケーションが増え、雑談などからでも簡単にコラボレーティブなことがやり易い雰囲気を作ることにより、そこから新しい発想が生まれたりするのではと期待を寄せています。


さらに、今回のオフィスには多くの緑や絵画などもを取り入れてリラックス効果も得られるように配慮しました。 さらにはアロマディフューザーのサブスクを契約して、ストレス緩和の香りをオフィス内に炊くようにしました。


以前の展示商談フロアも決して悪くは無かったのですが、少々古くなっていたことと、ここ数年、時代の流れもありミーティングや打ち合わせが多く、もっと気軽に商品を見ながら打ち合わせが出来たり、ちょっとした相談事などにも使えるようにとこのフロアを刷新しました。 さらに近年取引先も増えたことで商談機会も増えました。 従来の服飾業界の商談室というと、隔離された殺風景な商談エリアが多く、そのイメージを変えることを目指しました。 お客様も来たくなるような展示商談フロア、その新しい空間から、新しい発想が生まれ、多くの商売に繋げることが出来ればと期待を寄せています。

基本的には3Fの執務エリアとここ5Fの執務エリアで仕事をすることになりますが、3Fは集中(捗る)フロア、5Fは創造(整う)フロアという感じで分けています。  この5Fは基本的に資材、部材を選んだり、サンプルチェックなどの作業がやり易いフロア構成になっています。 大きなテーブルは商品や資材などをスペースを気にせずに広げて仕事が出来ます。 窓側には一人席を設け、ここでも気分を変えて集中できるスペースを設けました。 


もう一つ、立ったまま仕事や打ち合わせが出来る、少し高いテーブルを設置しました。

近年、様々な理由によりストレス過多になり、自律神経を乱してしまうというような事例を多々見聞きします。 そんな時に環境を変えて仕事が出来る(働く場を選択できる)という職場構築を目指しました。 毎日毎日同じ席に座り、同じ景色を見ながらの仕事は時には息が詰まってしまいます。 仕事中に煮詰まった時や人間関係などでストレスを感じた時は、時には逃げる場所も必要なのかなと思い、この木目を基調としたフロアで仕事することで、少しでもリフレッシュしてもらえればと思いました。

ノリの良いスタッフの声掛けで、就業時間後に簡単な飲み会などを催したりというのもこのフロアを使ってもらっています。 先日も夏のバル的なイベントが開催されましたが、参加者たちはコミュニケーションを深めていました。 コロナ禍で失われた活気を取り戻すという意味でもこのフロアは一役買っているのではと思います。



【働きがいのあるオフィスの構築】

今時のIT商社のような内装を取り入れつつ、製造メーカーならではのモノづくりをコンセプトにした部分も取り入れたフロア構成になっています。 また、使っていない時間も多い会議室や応接室と言った非効率な隔離スペースを排除して、すべてオープンスペースにしました。 これらはコミュニケーションを活発にする目的ですが、ワンオーワンの面談やミーティングなどもすべて執務エリアや商談エリアで行うようにしました。 これによりハラスメントなども起きなくなり、ダラダラと会議をすることも無くなるのではと思っています。 唯一の隔離スペースとして、社長室という位置付けで、トレンドのガラス張りのミーティングエリアを設置しました。  


ガラス張りにすることで、見られているという心理が働き、ミーティングや面談、打ち合わせ等の時間が短縮できると言う統計があるそうです。

【自律と信頼のフリーアドレス】

最後まで悩んだのは、各人が固定席を持たないフリーアドレスを導入するか否か。 最終的に導入に踏み切ったのですが、今思えば正解だったと思います。 
フリーアドレス導入で、働く場を複数設けることで、いろんな人と交わる機会が増えて、そこで普段あまり絡まない人と簡単な雑談からちょっとした相談等をすることにより、お互いに刺激し合いながら、それが社員の満足度を上げ、生産性高く働けるようになるのではと考えました。 このようにいろんな人と繋がりつつ、社内でも働く場を選べることで、自身の自律性も養えると考えました。 今後は自分に合った働き方を選びつつ、自律を意識しながら、自分らしい働きがい、生きがいを見つけていってもらいたいと思っています。 導入にあたっていろいろと問題も出てくると思いますが、最初は少し細かなルールを決めつつ、徐々に変えて行きながら様子を見るのが良いのかなと思っています。

会社として社員の自律を推し進める上で最も重要なことは、『会社が社員を信頼しなければならない』と言うこと。 同時に『社員も会社から信頼されなければならない』のです。 いろいろと書きましたが、これがオフィスリノベーション、フリーアドレス導入の本質だと思っています。


【創業の地、神戸にこだわる】

多くの地方企業が本社業務や企画業務を首都圏に移す時代に、神戸という土地にこだわるのには理由はがあります。 これまで100年近く神戸で商売を続けてきましたので、世代を超えてこの地域に貢献し続けているというプライドがあります。 その為、これまでも神戸という地方都市で優秀な人材を発掘する為に、より良い職場環境の構築を目指してきました。 さらに今回のリノベーションで、これまで以上の人材獲得に期待を寄せています。 職場環境はそこで働く同僚や上司の質、経営者の考え方なども同じように重要で、時代と共に社員も会社も変わって行かなければならないのです。 そうすれば自ずと優秀な人材が集まり、彼等の獲得に繋がり、さらに強い組織を作ることが出来るのだと思います。 







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